ZONEHACKERS' LAB Written by Yujiro

レム睡眠が人間の脳を進化させたのかもしれません

SLEEP

今回は、

人間の脳は、レム睡眠によって進化したのかもしれない

というお話です。

本記事の内容

  • 180万年前に起きた生活の変化
  • レム睡眠が人間の脳を進化させた4つの根拠
  • ① レム睡眠は、ノンレム睡眠より進化的に新しい機能
  • ② 人間のレム睡眠は、他の霊長類と比べて圧倒的に長い
  • ③ 火の使用が長いレム睡眠を可能にした
  • ④ レム睡眠が最も増えるのは、脳の発達が最も活発になる時期
  • まとめ:睡眠を制する者は、人生を制する

ども、バイオハッカーのYujiroです。

今から約5年前、グルテンフリーで身体の力を取り戻し、2度完璧なZONE(ゾーン、フロー)に入ったことをきっかけに、自身の日々のパフォーマンス(生産性)を科学的に最大化する方法(=バイオハック)を研究しています。

僕のZONE体験について詳しく知りたい方は人生で2度ZONEに入った著者が考える誰もがゾーンに入ることを目指すべき14の理由【保存版】をどうぞ。

今回は、前回に引き続き、「人間の進化」について書いていこうと思います。

前回は、「サプリが人間の進化をもたらす可能性」について、僕なりに考察したことを記事にまとめてみました。

180万年前に起きた生活の変化

斧で牛をハントする中世の騎士
その記事において、僕たち人間の脳の進化は、

  • ① 肉食 + ② 食料加工 → ③ 腸の短縮
  • + ④ 脳が発達する必然性
  • = 脳の進化

のように起こったと解説しました。

脳が急速に発達し始めたのが今からおよそ180万年前で、その頃出現した僕たちの祖先ホモ・エレクトスが人類史上初めて「狩り」を行ったとされています。

つまり、「① 肉食」「② 食料加工」によって、栄養吸収率が劇的に改善され、「③ 長い腸が不要になった」ことでエネルギーに余裕が生まれたところ、狩りの成功率を高めるために「④より高度な協力・連携を必要とした」ことで「人間の進化」は起きたわけです。

その中でも、僕が特に注目したのが、「② 食料加工」です。

「他の肉食動物ができないレベルの食料加工」が、人間の脳の進化において最も重要な要素だったのではないかと考えました。

そうでなければ、他の肉食動物の脳が同じように進化しなかった理由をうまく説明できないからです。

このことから、人間の脳がさらに進化するために必要なことは、

  1. 消化にかかるエネルギーコストの削減
  2. エネルギー(ATP)産生の最大化

を同時行うことであり、それを可能にするのが、食料加工の技術をさらに進め、栄養吸収率を高めたサプリかもしれない、というのが僕の主張でした。

詳しくは、サプリが人間を進化させる可能性について考察してみましたをどうぞ。

ただ、前回の記事では語れなかった、「人間の進化」を促したと思われる「もう1つの要因」があり、その要因も「肉食」「食料加工」ほぼ同時期に介入した可能性が高いのです。

そのもう1つの要因というのが、「レム睡眠」です。

僕のブログでは、ほとんど毎回のように「睡眠の重要性」を訴えているので、すでにうんざりしている方もいらっしゃるかもしれませんが、「人間の進化」にもやはり睡眠が絡んでくるのです。

というわけで、今回は、「人間の脳の進化はレム睡眠によってもたらされた」という睡眠科学者であるマシュー・ウォーカー教授による主張とそれを裏付ける4つの根拠を、彼の書籍『睡眠こそ最強の解決策である』から紹介したいと思います。

レム睡眠が人間の脳を進化させた4つの根拠

  • ① レム睡眠は、ノンレム睡眠より進化的に新しい機能
  • ② 人間のレム睡眠は、他の霊長類と比べて圧倒的に長い
  • ③ 火の使用が長いレム睡眠を可能にした
  • ④ レム睡眠が最も増えるのは、脳の発達が最も活発になる時期

早速順に見ていきましょう。

① レム睡眠は、ノンレム睡眠より進化的に新しい機能

金色に輝く女性の脳
すべての生物にあるノンレム睡眠、鳥類と哺乳類にしかないレム睡眠

計測できるかぎりでは、すべての種族にノンレム睡眠がある。しかし、昆虫、両生類、魚、それにほとんどの爬虫類は、レム睡眠があるという明らかな証拠がない。進化の過程で遅れて出現した種である鳥類や哺乳類には、完全なレム睡眠がある。(『睡眠こそ最強の解決策である』P.75より引用)

この書籍によると、地球上に暮らすあらゆる動物に睡眠、またはそれによく似た行動が備わっているとのことです。

つまり、眠らない動物はいないというわけです。

それにも関わらず、「完全なレム睡眠」が観測できる種族は、鳥類や哺乳類に限られるようなのです。

地球上で最も進化した脳を持つ人間にも、当然レム睡眠がありますが、人間のレム睡眠に、人間だけに見られる何か特別なところでもあるのでしょうか?

② 人間のレム睡眠は、他の霊長類と比べて圧倒的に長い

石の上で眠るチンパンジー
「『夢を見過ぎると人間になっちゃうよ!』って、お母さん、良く言ってたなぁ・・・むにゃむにゃ」

他の霊長類の場合、レム睡眠の長さは全睡眠の9%ほどだが、人間は20〜25%ほどにもなる!(『睡眠こそ最強の解決策である』P.90〜91より引用)

ウォーカー教授は「人間の睡眠はあらゆる動物の中で特別」と述べ、それが最も進化の進んだ他の霊長類の睡眠と比べても異質だと指摘しています。

人間と他の霊長類の睡眠時間とレム睡眠の長さ

  • 他の霊長類の睡眠時間 / レム睡眠: 10〜15時間 / 54〜81分(9%)
  • 人間の睡眠時間 / レム睡眠 : 8時間 / 96〜120分(20〜25%)

実際このように比較してみると、人間の睡眠時間が短く、レム睡眠が長いことがよくわかります。

では、何が人間にこのような特殊な睡眠を授けたのでしょうか?

③ 火の使用が長いレム睡眠を可能にした

キャンプファイアーの前に腰掛け暖をとる少女
前回の記事で紹介したように、人類最初期の火の使用の痕跡は、80万年前のもので、ホモ・エレクトスによって行われたとされています。

ただ、その火の使用の痕跡がさかのぼれる限り最も古い火の使用の証拠であるというだけで、それ以前にホモ・エレクトスや他の人類が火を使っていなかったことを証明しているわけではありません。

ホモ・エレクトスが最初に出現したのは180万年前頃だとされているので、彼らが80万年前よりも前から火を使っていた可能性は十分にあり、この火の使用こそが、「獲得した肉を調理することで栄養吸収率の改善をもたらした」だけではなく、彼らに異常に長いレム睡眠を可能にすることで、人間の進化を押し進めた要因の1つであるとウォーカー教授は考えているようです。

どういうことかを簡単に説明すると

  • レム睡眠時は、全身の随意筋(自分の意志で動かせる筋肉)が完全に麻痺した状態になり、樹上ではバランスが取れないので、地上で眠る必要があるが、危険の多い地上で眠ることを可能にしたのが火だった

ということになります。

火を使えない他の動物にとっては、「地上でぐっすり眠る」なんてあまりに危険すぎて不可能だった、ということらしいですね。

つまり、

  • 火の使用→ 獲得した肉の調理が可能に→ 栄養吸収率UP→ 進化!
  • 火の使用→ 地上で眠ることが可能に→ レム睡眠が発達→ 進化!

という具合に、「火の使用」がホモ・エレクトスの栄養状態睡眠2つを同時にアップグレードしたことが、人間を人間に進化させた大きな要因だったのではないかというわけです。

僕たちが、異常に長いレム睡眠を獲得し、睡眠の質を上げることで、睡眠時間そのものは短くすることができたのは、すべて他の動物には使えない火のおかげだったのかもしれません。

(未消化の食物が睡眠の質を損なうことを考えれば、調理によって食物の消化速度が向上したことも、睡眠の質を上げた要因だったと思います)

ただ、レム睡眠に本当に人間の進化を促す力があるのか、まだ懐疑的な人もいるかもしれません。

そんな方は、レム睡眠が人間の脳を進化させた根拠の④つ目をお読みください。

④ レム睡眠が最も増えるのは、脳の発達が最も活発になる時期

ベッドで眠る人間の赤ちゃん
レム睡眠が、お腹の中の赤ちゃんの脳を急速に成長させているようです。

胎児の脳の発達とレム睡眠の増加

  • ノンレム睡眠とレム睡眠を発生させるために必要な神経の大部分が完成するのは、妊娠期間の3分の2(およそ23週)がすぎるころ
  • お腹の中の赤ちゃんはいつもだいたい眠っている
  • ノンレム睡眠とレム睡眠が6時間ずつ、残りの12時間はどちらとも言えない中間の眠り
  • 覚醒のような状態を経験するのは、妊娠期間の3分の2を過ぎてから
  • それでも起きている時間は1日2〜3時間ほど
  • 妊娠後期になると、トータルの睡眠時間は減っていくが、レム睡眠だけは爆発的に長くなる
  • 妊娠の最終週になると、レム睡眠は生涯最長とも言える1日12時間に達する

REM Sleep is the Mother of Creativity

(胎児の)脳の発達は、妊娠の3分の1を過ぎてから急ピッチで進んでいく。これはレム睡眠の時間が爆発的に増える時期と一致している。もちろん、この一致は偶然ではない。胎児の脳は、レム睡眠という電気刺激を養分にして成長するからだ。レム睡眠時に発生する活発な電気信号が刺激になり、脳内の神経の通り道が続々と築かれていく。(『睡眠こそ最強の解決策である』P.99より引用)

このように、「創造力の母」とも呼ばれるレム睡眠には、確かに「人間を人間たらしめる脳の発達を促す力」があるようです。

レム睡眠が胎児や生後間もない赤ちゃんの脳の発達に絶対に欠かせないものであれば、この時期に彼らからこれを奪ってしまうことが、どれほど悲惨な結果を招くことになるのか、想像するのも恐ろしいですね。

まとめ

白い床の上で眠るビジネスマン
今回は、レム睡眠が人間の脳を進化させたというウォーカー教授の主張と、その主張を裏付ける4つの根拠を『睡眠こそ最強の解決策である』から紹介しました。

「睡眠」を制する者が「人生」を制する

  • レム睡眠の大部分は、睡眠の後半に行われるので、睡眠時間が少ない状態で目覚まし時計などで強制的に覚醒させられると、レム睡眠の60〜90%を失うことになる

と、ウォーカー教授は本書の中で警鐘を鳴らしています。

今回は、レム睡眠が人間の進化において務めた役割に限って紹介したので、レム睡眠そのものの役割については、ほとんど全くと言っていいほど紹介することができませんでした。

ただ、レム睡眠が人間の脳の進化をもたらした可能性を示唆する4つの根拠は、「睡眠の質に十分な投資をすることの大切さを再確認するきっかけ」としては十分だったのではないかと思っています。

あなたがあなたの人生において成し遂げたいと思うことがあるのであれば、睡眠を制しなくてはいけません。

と、まだ自分の人生において何も成し遂げていない僕が言ってみました。

まだ何も成し遂げていませんが、僕はこの格言を信じているので、
今日も夜は頑張らずに、いつも通りの時間にグッスリ眠ります。

ブログの良いところは、「読む時間を選べる」というところです。

あなたも夜にこの記事を読んで、あなたの人生を台無しにしないようにしてください。

(「冒頭にこの注意文入れろよ」というツッコミは全力で受け流します)

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「なんでやねん」という方はこちらをお読みください。

参考記事

睡眠こそ最強の解決策である

About me!


2006年(20才):タスマニアでダンクに挑戦(筋トレ&プライオメトリクス)→ 挫折

2009年(23才):パン屋で働き始める。

2010年(24才):慢性的な肩凝り・首凝り・腰痛が悪化。

2012年(26才):あがり症の治療のため精神科へ行き、うつになる。

2016年(30才):ハンブルクでダンクに挑戦(筋トレ&プライオメトリクス)→ 挫折

同年末:グルテンフリーを始めてみる。

2017年(30才):グルテンフリーを始めて3週間後、バスケ中に人生初のZONE体験。その後、寿司屋のキッチンで2度目のZONE体験。

2018年(31才):帰国。荷揚げ屋として働き始める。

2021年12月9日(35才):何度も挫折したデュアルNバック(DNB)に再挑戦。

2022年(36才):レベル上限なしのDNBアプリ開発開始。

僕のミッション:DNBで人生を変えられると証明すること。

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