最速でスキルを習得するための「ミエリンの形成」を最速化する方法
今回は、
新しいスキルを習得するには、脳の神経におけるミエリンの形成が不可欠です。
- 正確な反復練習
- 適切な栄養摂取・食習慣
- 良質の睡眠
がミエリンの形成を最速化します。
というお話です。
本記事の内容
- スキルを習得するってどういうこと?
- ミエリンってどんなもの?
- ① ミエリンの役割
- ② ミエリンの特徴・性質
- ③ ミエリンの材料
- ミエリンの形成を最速化する3つの要素
- まとめ
どうも、バイオハッカーのYujiroです。
今から約5年前、グルテンフリーで身体の力を取り戻し、2度完璧なZONE(ゾーン、フロー)に入ったことをきっかけに、自身の日々のパフォーマンス(生産性)を科学的に最大化する方法(=バイオハック)を研究しています。
今回は、「最速でスキルを習得する方法」について書きたいと思います。
経験から知るスキルの習得方法
早速ですが、皆様、「スキル」ってどうやって身につくのかご存知ですか?
おそらく「反復練習」というワードが頭に浮かんだ方が多いのではないでしょうか。
まさにその通り。
「スキルは反復練習によって身につくもの」だと、今回僕が参考にさせていただいた書籍にもしっかりそう書かれていました。
皆様は、反復練習によって、どんなスキルを身につけて来られましたか?
反復練習によって、僕が最初に習得したスキルは「自転車の乗り方」かもしれません。
もちろん、「はいはい」「立つ」「歩く」などといった動作や言葉など、それ以前に身につけたあらゆるスキルも反復練習の賜物(たまもの)であることは間違いないですが、「努力して習得した」という記憶があるのは、「自転車の乗り方」が最初かな?っと思いました。
他にも「反復練習」と聞くと、今でも漫画『スラムダンク』の主人公・桜木花道が行った2万本のシュート合宿を思い出します。
僕自身も小三からバスケットボールを習い始め、「ドリブル」「パス」「シュート」「サイドステップ」など、色々なスキルを反復練習によって習得しました。
- 反復練習によって、スキルは身につく。
それは経験上、誰もが知っていることだと思いますが、では
- 「なぜ、反復練習によってスキルは身につくのか?」
考えたことある方はいらっしゃるでしょうか?
少なくとも僕は、部活に入って本格的にバスケットボールをしていた中学・高校時代にも、そんなことを考えたことは一度もありませんでした。
ただ、自己最適化の方法(=バイオハック)に関する学びを深める中で、「スキルの本質」を知ったとき、
「ああ、これをもっと若い時に知っていたら、結果は大きく違っていただろうになぁ・・・」
と、不本意ながら束の間、本気で後悔しました。
「スキルの本質」が、それだけ衝撃的で、かつ、実用的だったからです。
- 「スキルの本質」を知る → 1つ1つの練習との向き合い方が変わる → 練習の質が向上する → スキルの質・習得スピードUP → 試合におけるパフォーマンスUP → 戦績UP → スクールカーストUP → モテる → リア充の象徴となる
まあ、「戦績UP」以降はただの冗談ですが、「スキルの本質」を知ることで積み重ねた質の高い努力と習得したハイレベルのスキルは、その後の人生を歩む上での大きな自信になったのではないかな〜っと思ったわけです。
つまり、もしあなたがまだ若く、
- スポーツ
- 音楽
- 料理
- 勉強
- 英語
- プログラミング
など、今現在何かに真剣に打ち込んでいるなら、この記事を見つけたことはラッキーだと思います。
また、「自分はもう若くはない」と思っている方でも、今回紹介させていただく「スキルの本質」を理解することで、今後のスキル習得・学習の速度を劇的に早めることができると思いますので、このまま最後まで目を通していただけたらと思います。
僕ももう35才ですが、「スキルの本質」を利用して、これからもバリバリ、実用的なスキルを身につけていくつもりです。
というわけで、最速でスキルを習得するために知っておきたい「スキルの本質」について早速見ていきましょう。
スキルを習得するってどういうこと?
今回、この記事を書くにあたって3冊の書籍を参考にさせていただきました。
そのうちの1冊、『天才はディープ・プラクティスと1万時間の法則でつくられる』によりますと、神経科学的見地からみた「スキル」は主に下記の3つによって構成されるとのことです。
- 適切な神経が
- 適切な速度と
- 適切なタイミングで発火すること
補助輪なしの自転車に乗るために必要な脳の神経が、適切な速度と適切なタイミングで発火することによって、補助輪なしの自転車に乗れるようになり、それがつまり「スキル」となるわけですね。
「マッスルメモリー」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思いますが、実際、筋肉には何かを記憶する能力はなく、あらゆる動作を記憶しているのはやはり「脳」で、そこからの指令が適切な筋肉を適切な速度とタイミングで動かすことで、「スキル」が表現されるようです。
- 「スキル」= 「適切な神経」が「適切な速度」と「適切なタイミング」で発火すること
すべてのスキルは記憶の形を取る。(『天才はディープ・プラクティスと1万時間の法則でつくられる』P.67より引用)
ただ、神経というのは、どうやら自分で加減して発火することはできないようです。
- 全力で発火するか
- まったく発火しないか
神経にあるのはこの2択だけとのこと。
では、どうすれば「適切な速度」と「適切なタイミング」で神経を発火させることができるのか?
それを可能にするのが、「ミエリン」です。
ミエリンってどんなもの?
ミエリンは神経回路を覆う絶縁体で、神経の発火がシグナルとなって発火した神経に形成されます。
① ミエリンの役割
- インパルス(神経の発火)の速度をコントロールする
そして、このミエリンによってコントロールされたインパルスの速度が「スキル」になるわけです。
つまり、言いかえると
- 「スキルの本質」= 適切な神経回路におけるミエリンの形成
となります。
神経の発火がミエリンを形成し、ミエリンがインパルスの速度をコントロールし、インパルスの速度がスキルとなる。(『天才はディープ・プラクティスと1万時間の法則でつくられる』P.57より引用)
② ミエリンの特徴・性質
1️⃣ 神経の発火がシグナルとなって、発火した神経に形成される。
2️⃣ 神経が発火するほどミエリンは厚くなり、ミエリンが厚くなるほど信号の伝達速度が上がる。
ミエリンのこれら2つの性質によって
- スキル習得に不可欠なのは、適切な神経を何度も繰り返し発火させること
だとわかります。
特に重要なのは、「適切な神経を」の部分です。
つまり、適切な神経を発火させるための「正確さ」がスキル習得において何より重要になると言えるでしょう。
ただの「反復練習」じゃダメってことですね。
「正確な反復練習」が適切な神経回路におけるミエリンの形成を促進するというわけです。
3️⃣ 一度形成されたミエリンは簡単には消えない。
間違った動きや習慣を変えることが難しいのはこれが理由です。
間違った動きや習慣を正すには、正確な反復練習によって正しい神経回路に新しくミエリンを形成しなくてはならないようです。
4️⃣ 若ければ若いほどミエリンは形成しやすい。
子供の場合、遺伝子情報および活動によってミエリンは次々と形成される。
これは30代になるまで続き、その間、脳はとりわけ新たなスキルを受け入れやすい状態にある。
その後もミエリンは維持されるが、50歳前後で減少に転ずる。
さいわいにもオリゴデンドロサイトの5パーセントはつねに確保されているため、ミエリンは生涯を通じて産生することが可能だが、年を取ってから語学や楽器に挑戦する場合、必要な回路を形成するのに昔よりも時間と労力がかかることを実感するだろう。
だから、世界レベルの専門家は通常、早い時期にスキルを習得する。(『天才はディープ・プラクティスと1万時間の法則でつくられる』P.60-61より引用)
5️⃣ ミエリンは睡眠中に形成される。
上で説明した通り、神経の発火がシグナルとなってミエリンは形成されますが、実際にミエリンの形成が行われるのは寝ている間のようです。
スキル習熟の要であるスピードと正確性の向上は、ステージ2のノンレム睡眠と直接的なつながりがあった。8時間睡眠の場合、とくに最後の2時間がカギになるようだ(たとえば夜の11時に寝たのであれば、朝の5時〜7時の間だ)。
中でもとくに大切なのは、最後の2時間に現れる睡眠紡錘波の数だ。
さらにおもしろいのは、運動スキルを学習した後の睡眠で睡眠紡錘波が増えるのは、脳の運動野と呼ばれる部位だけだったことだ。
練習した動きを司る運動野で睡眠紡錘波が増えるほど、起きてからのパフォーマンスも向上する。
(中略)運動スキルの記憶に関しては、睡眠時の脳波が優秀なマッサージ師のような役割を果たしている。
全身マッサージを受けることはできるが、いちばん凝っている箇所を重点的にマッサージしてくれる。
睡眠紡錘波もそれと同じで、脳の全体で現れるが、起きている間にいちばん鍛えた運動野に現れる数が飛躍的に多くなる。(『睡眠こそ最強の解決策である』P.156-157より引用)
このように「ミエリン」の名前は出てこないものの、睡眠中にミエリンが形成されることを示唆する記述を見つけることができました。
スキルの習得において睡眠は不可欠のようです。
6️⃣ ミエリンを作るのはオリゴデンドログリア
ミエリンは、「オリゴデンドログリア」または「オリゴデンドロサイト」と呼ばれる細胞によって作られるようです。
1985年、神経解剖学者のマリアン・ダイアモンドがアインシュタインの左頭頂葉について調べ、ニューロンの数は平均的だったものの、ミエリンを形成・維持するグリア細胞の数が通常のヒトの脳に比べて著しく多いことを発見した。
当時は無意味だと考えられ、笑い話にもされたが、これで天才脳の秘密が明らかになった。
(『天才はディープ・プラクティスと1万時間の法則でつくられる』P.94より引用)
このオリゴデンドログリアが正常に働くためには、
- 甲状腺ホルモン
- プロゲステロン
の2つのホルモンのバランスが大事とのこと。
甲状腺ホルモンは、エネルギー(ATP)産生に影響を与えるため、僕たちが元気に活動するために不可欠なホルモンです。
プロゲステロンは、コレステロールから合成されるステロイド(性)ホルモンの1種で、男性ホルモンのテストステロンや女性ホルモンのエストロゲンの前駆体です。
ステロイドホルモンの生成過程
- コレステロール → プレグネノロン → プロゲステロン → 17αヒドロキシプロゲステロン → テストステロン(男性ホルモン) → エストロゲン(女性ホルモン)
研究者たちはプロゲステロン(黄体ホルモン)ー 月経周期の調整に関わっているので、一般には女性の体内化学反応を連想させる ー がオリゴデンドログリアに信号を送って、ニューロンの再ミエリン化のプロセスを開始させることを発見した。
ある実験では、プロゲステロンを与えらえたマウスが、より多くのオリゴデンドログリアをもち、より多くのミエリンを修復できた。(『シリコンバレー式 頭がよくなる全技術』P.87-88より引用)
③ ミエリンの材料
ミエリンを形成するには、ミエリンが何でできているのかを知ることも大切です。
さて、ミエリンは脂肪でできている ー 特に飽和脂肪、コレステロール、オメガ3脂肪酸、少量のオメガ6脂肪酸だ。(『シリコンバレー式 頭がよくなる全技術』P.88より引用)
- 飽和脂肪
- コレステロール
- オメガ3脂肪酸
- オメガ6脂肪酸(少量)
ミエリンの形成を最速化する3つの要素
以上のことから、
- 「スキルの習得」= 適切な神経回路におけるミエリンの形成
- 「最速でスキルを習得する」 = 「最速でミエリンを形成する」
ということがわかり、ミエリンの特徴・性質から、ミエリンを最速で形成するにはどうすれば良いかが見えてきましたね。
早速まとめてみましょう。
1. 正確な反復練習
スキルの習得において重要なのは「正確さ」であって、スピードではありません。
むしろ「正確な動き」「適切な神経の発火」が可能になるまで、スピードを遅くすることが大事です。
ゆっくりでも、とにかく「正確な」動きを何度も何度も繰り返すこと。
「どれだけ速くできるかではなく、どれだけ遅く正確にできるかだ」(『天才はディープ・プラクティスと1万時間の法則でつくられる』P.109より引用)
これが最速でスキルを習得するための極意です。
2. ミエリンの形成を促進する栄養摂取と食習慣
ミエリンの材料を積極的に摂取して、ミエリンの形成が阻害されないようにしましょう。
ミエリンの材料
- ① 飽和脂肪
- ② コレステロール
- ③ オメガ3脂肪酸
- ④ オメガ6脂肪酸(少量)
ただし、「正確な反復練習」を行っている間は、空腹であることがベストのようです。
とりあえず、ディープ・プラクティスが効果を発揮するのは、注意を払い、空腹で、集中し、必死になっている状態であると言っておこう。(『天才はディープ・プラクティスと1万時間の法則でつくられる』P.59-60より引用)
おそらく、「空腹状態が16時間以上持続されると、新しい神経の発生や成長を促すBDNF(脳由来神経栄養因子)と呼ばれるタンパク質の分泌が脳内で促進される」ということに起因するのでしょう。
これは恵まれない環境で幼少期を過ごした人物が後に偉業を成し遂げる理由の1つかも知れませんね。
ミエリンの材料を摂取するのは、練習後が最適と言えそうです。
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3. 良質の睡眠
「ミエリンの特徴・性質」でも紹介したように、実際にミエリンの形成が行われるのは「寝ている間」なので、スキル習得においても睡眠の質に正しく投資することは不可欠と言えます。
“Practice makes perfect(練習が完璧をつくる)”ということわざがありますが、実際には、「練習と睡眠が完璧をつくる」のです。(『睡眠こそ最強の解決策である』P.154)
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まとめ
今回「スキル」というものを理解しやすくするために、スポーツを例にあげましたが、スキルは何も肉体的な動作が伴うものに限定されません。
- 文章を書く
- チェスや将棋
- 計算
- 読書
なども、ミエリンの形成によって習得することができるスキルです。
僕が今取り組んでいるデュアルNバックにおけるレベルアップも、適切な神経がミエリンによって覆われ、情報の伝達速度が最適化されるために起こることと考えることができます。
今回この記事を書くにあたって、「反復練習するときは空腹状態がベスト」ということを学んだので、これからはなるべく夕食前にデュアルNバックをやろうと思います。
あなたが現在打ち込んでいるものが何であれ、この記事があなたのスキル習得の速度と質を向上させるヒントになれば幸いです。
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参考書籍
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「なんでやねん」という方はこちらをお読みください。