人生で2度ZONEに入った著者が考える誰もがゾーンに入ることを目指すべき14の理由【保存版】
ども!
約5年前ドイツでグルテンフリーと出会って元気になって以来、科学的に自分のパフォーマンスを最適化する方法(バイオハック)を研究し続けているYujiroです。
突然ですが、ZONE(ゾーン)って知ってますか?
スポーツをやっている人や漫画を読む人は聞いたことがあるかもしれません。
また、ZONEをフローという言葉で知っている人もいるかもしれませんね。
ZONEとフローは同じものです。
ただ、ランナーズハイとは違います。
ランナーズハイは軽度のZONEだと言えます。
走っている最中にランナーズハイを飛び越えてZONEに入ることもあるようですが、基本的にZONEやフローはランナーズハイの上位互換だと思ってください。
なぜなら、このZONE、漫画などでは”超集中状態”と解説される傾向があるようですが、実際はそれだけじゃないからです。
「なぜ、そんなことがわかるのか?」
実は僕、完璧なZONEに入ったことがあるんです。それも2度も。
人に自慢できることなどほとんどない平凡な人生を送ってきた僕が、唯一自慢できることだと思ってます。
世界にはたくさんのバイオハッカーがいますが、ZONEに入ったことのあるバイオハッカーは少ないと思います。
ZONEに入ることがすべてのバイオハッカーの目標というわけでもないのですが、ただ、バイオハッカーとしての僕の最終目標は
『いつでも好きなときにZONEに入れるようになる』
ことです。
というのも、一度でもZONEに入ってしまうと、それを目標とするしかなくなってしまうからです。
ZONEに入った僕は、僕がずっと思い描いていた『理想の自分』をはるかに越えた存在でした。
そこで今回は、僕がZONEに入ったときのことを話します。
この記事を見つけたからには、あなたもZONEに興味がある人だと思います。
この記事は特に・・・
- ZONEがなんなのか知りたい
- ZONEに入るとどんなメリットがあるのか知りたい
- ZONEに入りたいけど、入り方がわからない
- ZONEに入るデメリットがあれば知りたい
というような方にオススメです。
なぜなら、この記事で僕が語る内容はこれらすべてのニーズに応えるからです。
つまり、この記事を読むと・・・
- 『ZONEに入る』とはどういうことなのかがわかる
- ZONEに入るための具体的な方法がわかる
- 誰もがZONEに入ることを目指すべき理由がわかる
- ZONEに入るデメリットがわかる
- 現状がどんなに惨めでも、人生に希望が持てるようになる
というようなメリットがあります。
これらは僕がZONEに入った2度の詳細な体験談だけではなく、ZONEについて書かれたかなり専門的で信頼度の高い本によっても裏付けされているので、あなたが上記のようなニーズを持っているなら、自分で言うのもなんですが、この記事を読む価値は十分にあると思います。
それでは早速始めます。
超集中力だけじゃない!ZONEに入っている間感じられる14のメリット
- これ以上ないほど幸せで満ち足りる。
- これ以上ないほど楽しい気持ちになる。
- 自分が無くなる。(または、自分が溶けて空間全体と一体化した感じ)
- 恐怖心が完全に無くなる。
- すべてが愛おしく、すべてに感謝したくなる。
- それまで感じていたストレスが完全に無くなる。
- 欲望・煩悩が無くなる
- 自己否定の声が無くなり、迷いが一切消える。
- 意識と体が完全に一体となっている感覚。
- 身体能力が爆発的に跳ね上がる。
- すべてから解放され、完全な自由を手にする。
- 独創性(クリエイティビティ)が増す。
- ZONEに入っている最中の出来事は、長期記憶に深く刻まれる。
- 理想の自分になれる。
ZONEに入った2度の実体験から考察するZONEに入る条件とトリガー
上で紹介したZONEに入ると得られる14のメリットは、本から抜粋したものではなく、すべて僕が実際に体験したことから得た学びです。
なので、これらメリットを解説するには、僕が体験したことを話すのがベストだと思うので、早速話そうと思います。
僕をZONEへ導いた習慣と
習慣に裏付けされた高い自己肯定感
僕がZONEに入ったのは、僕がドイツのハンブルクにいるときで、2度とも同じ時期に起こりました。
どちらも僕が3週間のグルテンフリーで元気になった直後のことです。
詳しくは僕の別記事【僕のプロフィール】自称バイオハッカーの僕がバイオハッカーを名乗るまでを読んでみてください。
今から約5年前、僕はバスケットボールのダンクがしたくて、週5でジムに通って筋トレしてました。
僕の身長は当時178cm。日本人男性の平均身長よりは高いですが、この身長でダンクできる日本人はほとんどいないと思います。
なのでかなりハードルの高い目標だったのですが、僕はできると思ってました。
と言うのも、僕が20才の頃、その時はオーストラリアのタスマニアにいたのですが、筋トレとジャンプ力アップのためのプライオメトリクスというトレーニングを真剣にやった結果、垂直跳びでリングの真下から跳び上がってリングにぶら下がることができたからです。
ただ、その時もダンクを目標にしていたにも関わらず、現地人や留学生たちとの試合中に右足を捻挫してしまい、一度もダンクすることができないまま、挫折していました。
それから10年後。30才の僕はハンブルクにいて、また同じ目標に向かって挑戦していました。今度こそ、ダンクを実現するために。
「30才の男が何やってんだか」
「他にやることあるだろw」
という呆れた声が聞こえてきそうですが、大目に見てやってください。
永遠に童心を忘れないピュアな大人なんです(笑)
そのときの僕の日常は、
- 筋トレをする日(週5日)は始発のバスに乗るため朝4時に起き、
- 筋トレ前に飲むプレワークアウトドリンクや筋トレ中に飲むワークアウトドリンク、それから筋トレ後に飲むプロテインなどの準備をして、
- バスを待つ間にプレワークアウトドリンクを飲む。
- 始発のバスで24時間営業、ほぼ貸切り状態の巨大ジム(McFitのちにJohn Reed)へ移動し、
- 5時から約1時間の筋トレをして、
- 一度帰宅し、
- シャワーを浴びて、
- 今度はバスと電車を乗り継いでハンブルクのメイン駅(HauptBahnhof)まで行き、
- カフェでコーヒーを飲んで瞑想し、
- 9時30分に出勤(寿司屋)、
- 17時30分に退勤し、
- また電車とバスを乗り継いで帰宅、
- 夕食を作って食べ、
- シャワーを浴び、
- 22時までに就寝。
というような感じで、ほぼ毎日決まった行動をしてました。
ダンクするには脚力が特に大事だと思っていたので、重めの重量を使ったスクワットやレッグプレスを中心にメニューを組んでました。
脚の筋トレやったことある人ならわかると思うのですが、あれ、真剣に追い込むとメチャクチャつらいんですよ。
寿司屋では一日中ずっと立ちっぱなしですから、脚トレをした日の仕事はけっこう脚にきました(苦笑)
でも、朝太もも追い込むと、他の部位の筋トレでは味わえない、なんとも言えない爽快感があるんですよね。
大腿四頭筋やハムストリングや大臀筋などの下半身の大きな筋肉群を刺激すると男性ホルモンであるテストステロンの分泌が促されるみたいで、主にそれがもたらしてくれた爽快感らしいです。
だから、基本的にツラかったけど、大好きでしたね。脚トレ(笑)
週5日中2日は必ず脚トレにしてました。
んで、毎週水曜日がバスケの日で、家の近くの体育館でバスケ好きの学生たちとバスケ。
バスケは17時からだったので、毎週水曜日は仕事休みもらって、そこで最高のパフォーマンスが発揮できるようにコンディショニングしてました笑
コンディショニング自体は生活の一部になってましたけどね。
火曜日と水曜日は脚トレしないとか、ジャグリングで集中力や動体視力を鍛えるとか、YouTubeでレブロン・ジェームスやラッセル・ウェスト・ブルック、アレン・アイバーソンといったNBAでもトップオブトップの選手たちのプレーを観まくって「ダンクできる身体能力が手に入ったら自分もこんなふうにプレーできる」とモチベーションを高めたりしてました。
能力はともかく、意識的には自分はトップアスリートだと完全に信じ込んでいました。
- 「自分は活躍するには十分なだけの代償を払っている」
- 「他のプレーヤーとは意識や自分の身体に対する知恵が違う」
- 「自分は毎日最高のパフォーマンスを発揮することだけを考えて生きている」
という自覚もありました。
そして、ZONEに入るための条件として、このポジティブな思い込みはかなり重要だったと思います。
これにはその場所のバスケのレベルがちょうど自分のレベルに合っていたことが幸いしました。
つまり、自分がしっかり身体を整え、最高に近いパフォーマンスを発揮できる状態であれば、大いに活躍できるというレベルです。
ZONEに入るための条件
- 動作を伴う
- 明確な目標を持っている
- 自分のスキルに自信がある
- 挑戦している課題の難易度が自分のスキルレベルに合っている
- 挑戦中の課題の難易度もスキルレベルもある程度高い
- さらに上へと自分を追い込んでいる
- 高い自己肯定感
- 高いテストステロン値
- 良好な腸内環境
- 使える栄養素が体の中に十分にある
- 円滑な代謝が可能な程度に体が健康である
ここまでで当時の僕が1〜6までの条件は満たしていたことがわかると思います。
この1〜6は本で提示されていたZONEに入るための条件をわかりやすく簡略化したものです。
挑戦中の課題の難易度が高すぎると不安を感じてしまいますし、優しすぎると退屈を感じてしまってダメということですね。
十分な栄養摂取がZONEを長引かせる?
実は、ZONEに入った後けっこう長い間、僕は自分が体験したものがZONEだったのだと知らなかったんです。
ただ、グルテンフリーによってようやく体がうまく回るようになり、健康になっただけだと思ってました。自分以外のみんなにようやく並び、追い越すだけの健康体がついに手に入ったのだと。
日本へ帰国して偶然ある本に出会い、ようやく答え合わせができたというわけです。
実際かなり驚きました。自分が体験した事ことごとくが本に書かれている内容と一致したからです。
それが『超人の秘密 エクストリームスポーツとフロー体験』という本です。
ZONEに入るための条件9〜11は、
- ZONEに入った時の僕の体の健康状態が良好だったこと
- グルテンフリーで腸内環境が改善した直後だったこと
- 神経伝達物質の大部分が腸で合成されること
- 僕の栄養面での習慣
- 本に書かれていたZONEに入ると起こる身体の生理学的変化
- 僕が実際にZONEに入っていたときの感覚
から「実はこれも条件だったのでは?」と考察した条件です。
なので、間違っている可能性もありますが、自分では間違いないとほぼ確信しています。
少なくともサブ的な条件としては。
どういうことかというと、9〜11はZONEに入るために絶対必要な条件ではないかもしれないけど、ZONEに入っている時間を引き延ばすために必要な条件だったのではないかという意味です。
僕がZONEに入っていられた時間は、2度とも30分ほどの短い時間でした。
でも、これはひょっとすると平均的なZONE体験時間よりも長いのかもしれません。
というのも、ZONEに最も入りやすい状況というのは、死と直面したときらしいからです。
死と直面したときとはどういう状況かというと、落ちたら絶対助からないとわかる高さの崖から落ちたときや、銃口を向けられたときなど、次の瞬間の自分の命の保証がないと自分でわかるときです。
いわゆる臨死体験というやつですね。
崖から落ちている時間は、たとえそれがどんなに高い崖でも何十分も続くものではありません。
ほとんどは一瞬で終わるほど短い時間でしょう。
そんなごく短い時間のZONE体験には、体の健康状態や栄養は特に重要ではないのかもしれません。
ただ、常に最高のパフォーマンスを求めるアスリートの場合は、自分の身体のすべての能力を引き出すために身体のコンディショニングはしっかり行っているでしょうから、一瞬よりももっと長い間ZONEに入っていられる栄養面での条件が満たされている可能性が十分にあります。
なぜ、ZONE体験に栄養やら健康やらが関わってくるのかというと、上で紹介した『ZONEに入っている間感じられる14のメリット』をもたらすものがドーパミンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の大放出だからです。
そして、神経伝達物質の大部分が合成される場所は腸なので、腸内環境が良好であるというのも重要な条件に違いありません。
「ZONEに関与している神経伝達物質は数十種類もあるが、特に重要なのはその中の5つだ」
と本では説明されています。
神経伝達物質オールスターズ
その5つの神経伝達物質とは、僕たち一般人にも馴染みのある下記の通りです。
- ドーパミン
- ノルアドレナリン
- エンドルフィン
- アナンダミド
- セロトニン
4.のアナンダミドは聞いたことがない人が多いかもしれません。僕もこの本を読むまでは聞いたことがありませんでした。
これら5つの主要な神経伝達物質を含む数十種類もの“神経伝達物質カクテル”の大放出が起こるには、それら神経伝達物質を合成するために必要な材料が体の中にきちんと存在していなければなりません。
神経伝達物質を合成するために必要な材料というのは、たんぱく質(L-チロシン、L-フェニルアラニン、トリプトファンのようなアミノ酸を含む)、ビタミン、ミネラルなどです。
僕がZONEに入った2度とも、間違いなく僕の体の中にはこれらの栄養素が十分すぎるほど存在していました。
ホエイプロテイン、BCAA、L-チロシン、L-グルタミン、マルチビタミン&ミネラル、マグネシウムと亜鉛はさらに追加で摂っていましたし、寿司屋の賄いではサーモン寿司を毎日8個食べてました。
あと、神経伝達物質の効果を最大化する上でカフェインも重要な役割を担っていたと思います。
当時、僕が朝イチ筋トレ前に飲んでいたプレワークアウトドリンクには、成人男性の1日の許容量と等しい400mgのカフェインが含まれていた上、カフェでコーヒーも飲んでいたので、死ぬことすらあるレベルのヤバイ過剰摂取でした。
この頃カフェインの摂取を1週間やめて再び400mg摂ったことがあるんですが、めちゃくちゃハイになり、まる2日頭の中のおしゃべりが途絶えず、もちろん寝ることさえできませんでした。
今考えれば、本当に健康を害するレベルの過剰摂取だったわけですが、結果的にそれがあったからこそ30分間もZONEに浸るという極めて希少で貴重な体験をすることができたのだと思っています。
ある意味僕も死に直面していたのかもしれません。死ぬという自覚はなかったので、それがトリガーになったわけではないですが笑
不安もなく、退屈もなく、ただ心の底から楽しいとき
初めてZONEに入った時に、僕をZONEに引き込んだトリガーは「楽しい!」という強烈な感情でした。
それは水曜日。体育館がしばらく使えず、最後にバスケをした日から1ヶ月以上経っていて、この日に最高のパフォーマンスを発揮することを目標にその間完璧にコンディション調整していました。
さらに、自分が最大限の力を発揮できると大いに期待できるメンバーも揃っていたので、試合前から試合への期待値は最高に高まっていました。
コンディションばっちりでバスケをしている最中。
始めからいつもと違うことがわかっていました。
身体がものすごく軽かったんです。
いつもよりかなり軽く、速く、力強く身体が動く
それがわかった瞬間、
「楽しい!!」
って強烈に思ったんです。
この感覚、多分スポーツをやっている人にはわかってもらえるんじゃないかと思うのですが、いつもより身体が動くとそれだけで楽しくなるじゃないですか。
僕は歩いているときに身体が軽いと、それだけで楽しくなっちゃいます笑
まあ、僕ほど体調の良い日と悪い日の差がある人は珍しいと思いますが。
とにかく、それがトリガーでした。
「楽しい!!」
と強烈に思った次の瞬間、全身に鳥肌が立ち、ビリビリと痺れるような快感がお腹を中心に全身至るところから湧き起こり、それが背中を頭頂に向かって何度も何度も駆け上がったんです。
まさに“スーパーサイヤ人”がまとう、制御しきれないエネルギーに包まれているような感覚でした。
『歓喜の渦』とも呼べるものに僕は完全に飲まれていて、バスケできることがただただ嬉しくて、顔は自然に笑顔になっていました。
そして、ソレは、僕の平凡な身体能力を超人とも呼べる域にまで一気にはね上げたのです。
意識と完全に融合した身体では文字通り望むままのプレーができました。
YouTubeで何度も観たラッセル・ウエストブルックのように“爆発的”でキレのあるドライブやクロスオーバー。
全力のドライブから突然の急停止、再び“爆発的”なファーストステップでのドライブ。
普段こんなプレーやったら体重移動がうまくできなくて有効なプレーにならないばかりか最悪コケます。
本当に思うがままです。そこに一切の誇張はありません。
それは、この日僕のチームメイトからもらった賛辞
からも実際に起こったことだとわかりました。これはもちろん、僕が僕の人生でもらった中で疑いの余地なく最高の賛辞です。
ZONEは肉体の限界も排除する。
そして、それを可能にするのが神経伝達物質の異常なほどの大放出。
社長との喧嘩と自分自身への怒り
2度目のZONE体験は、その後すぐにやってきました。
今度は寿司屋で、朝の仕込みをしている時です。開店直前でした。
なぜそんな時にZONEに入れたのかを説明するには、僕の当時の状況を説明しなければなりません。
その頃僕は、ちょっとしたことでその寿司屋の社長と喧嘩をして、1秒たりとも自分の時間とエネルギーを9時30分から17時30分の間以外に仕事のために使いたくなかったのです。
つまり、自分の朝の時間を削って朝早めに出勤して準備を始めたり、サービス残業することが許せなかったんですね。
社長と喧嘩するまでは、心に余裕を持って朝の仕込みをできるように出勤時間よりも20分くらい前に店に入ることを習慣としてましたし、自分の退勤時間に店が忙しいようであれば文句をたれずにヘルプしてました。
自分が役に立てることが嬉しかったんです。
社長のことも信頼してましたし、同僚が素晴らしかったからです。
でも、社長と喧嘩をしてからは、自分の時間は1秒たりとも余計な仕事に使わないと決めました。
だから、仕事も9時30分きっかりから始められるように店の近くで時間を潰してましたし、17時30分になったら同僚がどんなに忙しそうにしててもスパッと作業を終えて帰宅しました。
自分で言うのもなんですが、その去り方はメチャクチャ鮮やかだったと思います。
何せ、「仕事の時間は全力でやる」と決めていたので。
特に退勤時間が迫ってくると翌日の仕込みと片付けがメインの作業になるので、僕より後に退勤することになる同僚の仕事を少しでも減らすために、またそうすることで大好きな同僚を手伝わない自分の罪悪感を減らすために、とにかくがむしゃらに頭と手足を動かしました。
朝の仕込みの時間もそれまで使えていた20分が無くなったので、心の余裕がなくなりました。
「今までより20分も遅く始めてるんだから、作業が遅れても当たり前」
そう思えたら、まだ余裕を持って朝の仕込みができたのですが、僕はなぜかそう思わなかったのです。
多分、怒っていたからだと思います。
何に対して怒っていたのかというと、多分社長にあまり価値を認めてもらえていない自分自身にだったと思います。
筋トレをするために朝4時に起きるという生活をしていたので、出勤時間の9時30分には、目覚めてからすでに5時間以上が経過していることになるわけで、筋トレの効果やプロテインやマルチビタミン&ミネラル、そしてカフェインなどの栄養摂取により、出勤時の身体のコンディションは「いつでも戦闘可能」という状態でした。
意識的にはレブロン・ジェームスのようなトップアスリートのつもりで生活してましたしね。
だから、体は動くし、頭も動く。
手足を速く動かすことはもちろん、仕込みの作業を進めながらより速く、より効率的に仕事をこなす方法を追求し続けました。
例えば、今まで行っていた作業の順番をガラッと変えたり、誰がいつ出勤してくるのか事前に把握して、その日の店全体の朝の準備がどのように進むのかを推測し、自分がどのタイミングでどの仕事を終えれば全体として最も早く開店準備を終えることができるのか考え、無駄を徹底的に排除し、自分の動きを毎日少しづつ最適化していきました。
寿司屋のキッチンでZONEに入る
2回目のZONEに入ったのは、そんなことをしていたある朝でした。
気がつくと、朝の仕込みが終わる時間は、20分前に出勤していた頃よりもかなり早くなっていました。
20分前に出勤していた時は、確かにゆっくり、のんびり仕事をしていたのだと思います。
でも、この作業時間の短縮は、それ以上に僕が自分の動きの最適化に成功したことが大きいと思います。
少なくとも、当時の僕はそう確信していました。
「自分はこの店では一番能力がある」
半ば無意識的にではありますが、そのくらいのことは感じていたかもしれません。
それだけ自分の能力に自信を持つようになっていました。
1回目の時と同様に、ここでも実際の能力がどれほどなのかは関係ありません。
自分の能力が実際どれほどショボくても、自分のスキルに絶対的な自信を持つこと、自分は有能だと思い込むことがZONEへ至る道なのです。
実際に僕の包丁のスキルは悪い意味でヤバいです笑
それでも当時は自分が有能だと信じきってました。
そして、サーモンの切り身を作るために、サーモンのさくに包丁を入れた瞬間、その包丁の切れ味に
「うわぁ・・・気持ちいい・・・!!」
と強烈に感じ、また同時に
「これは危険だ・・・!!」
とも強烈に思いました。
包丁を研ぐのが得意な同僚のKくんが前日に包丁を研いでくれていたようで、それは今まで感じたことがないくらい非常に良く切れる包丁になっていたのです。
僕はそんな包丁でサーモンを切れることが嬉しくて、楽しくて、Kくんに心底感謝したい気持ちになりました。
その瞬間です。2度目のZONEへの扉が開きました。
1度目同様、ビリビリ痺れるような神経伝達物質の大放出が起こり、歓喜の渦に飲み込まれ、最高に幸せで満ち足りて、すべてに感謝したい気持ちでいっぱいになりました。
「自分が無くなった」ような感覚と「自分が溶けて全体の一部になった」かのように「自分がそこら中至るところに存在するような」なんとも言えないような感じもありました。
本によると、これは普段無意識に区別している「自分」と「自分以外のすべて」の間にある境界がZONEによってあいまいになることで起こるらしいです。
普通に考えたら皮膚や体毛や爪が自分の限界ということになるのでしょうが、パーソナルスペースという概念があるように、僕たちは普段自分の半径数十cmくらいまでは自分と認識してるのかもしれません。
「自分」とともに消え去る限界
僕のプロフィールを読んでくれた人ならわかると思いますが、僕は不安を感じやすい「あがり症」の傾向があって長年悩んでました。
そんな僕だからきっとよりハッキリと感じられたのでしょう。
ZONEに入っている間、常に僕の中にあった不安や恐怖を一切感じなくなり、「自分は無敵だ」とさえ感じるほど、強烈な全能感に支配されました。
誰にどんな非難をされようと、自分の心にはさざ波ひとつ立たないだろうという確信がありました。
それもそのはず。なぜなら、漠然とあった不安や恐怖は、何かに自分が脅かされ傷つけられるかもしれない可能性に対する根源的な恐怖から来るものだからです。
ZONEに入ることで「自分が無くなった」わけですから、何かに脅かされ、傷つけられるはずの自分という対象自体が意識の上では完全に消失してしまっているので、もはや脳は何に対して不安や恐怖を感じればいいのか判断できない状態になっているのです。
だから、そこにあるのは「愛おしい」という強い「愛の感情」だけです。
ZONEに入っている間は、憎いはずの社長でさえ当然のように愛おしく感じました。
「何かに対して憎しみを抱く理由がない」=「すべてが愛おしい」
がそのとき感じていたことに一番近い表現だと思います。
そして、もちろんこの時も僕の身体能力は爆発的に上がっていました。
ただ、キッチンという場は、スポーツという場ほどその全能力を披露するのにふさわしい場所ではないので、その現れ方はずいぶん限定的なものになってしまいましたが。
例えば、尾てい骨から頭頂まで、体の中心にしっかりした一本の芯が入ったような感覚があり、それが最高のバランスを提供してくれたことが挙げられます。
20才の頃、バスケ中に右足を捻挫してから日常でもバランスに不安を感じるようになっていたのですが、ZONEに入っている最中は、その感覚さえなくなり、完璧なバランスでの最適な体重移動ができるようになっていました。
「こう動きたい」「こう動ければ」と頭では思っても、体がうまく動いてくれないことってけっこうありますよね?
体が重かったり、面倒臭いと思ってしまったりと色々理由はあると思うんですが、ZONEに入っている最中はそれも一切なくなります。
まず「体が重い」という状態はありえず、体は常に自分史上最高に軽く、自分の意識と完全に一体となって動きます。
だから、「今こうするべきだ」「こうしたい」と脳が判断を下したときには「面倒臭い」などと感じる暇さえなく、すでに行動に移っています。
「自分が無くなる」と同時に頭の中の「自己否定の声」も同時に無くなっていたんですね。ここでもやはり否定するべき対象であった自分がなくなっちゃったわけですから。
だから、判断に一切の迷いがなくなり、直感的に行動できる。それがZONEに入ってる間淀みなく続くから、ZONE体験者は流れている感覚(フロー)を覚えるんですね。
実際に僕もZONEに入ってる間は絶え間なく動き続けてましたし、それは「今やるべきこと」がまるで流れてくるかのようにわかったからです。
強烈な感情によって強化される長期記憶
5年も前に起こったことだというのに僕がここまで鮮明に描写することができた理由が、ZONEの記憶を強化する力にあります。
人は強い感情を抱いたときのことは忘れずによく覚えているものです。
ZONE体験は強烈な歓喜・幸福の感情を呼び起こすので、ZONEに入っている間に起こった出来事はいつまでも鮮明に思い出すことができます。
これは、バスケや包丁の技術のように、筋肉を動かす記憶についても同様です。本によりますと、ZONEに入ることが唯一の成功(生存)するための方法とされるエクストリームスポーツの競技者たちは、死と向かい合いZONEに入るということを日常的に幾度となく繰り返すことで、自身のスキルを常識をはるかに超える速さで向上させているとのことです。
もし、何度も何度もZONEに入ることができたなら、僕も30才にしてプロバスケ選手になれたかも?笑
この『超人の秘密』という本は、自分が体験した感覚がなぜ起こったのかという僕の疑問にことごとく答えを返してくれるヤバい本です。
この本がなかったら上でしたような解説はまるっきりできなかったはずですし、それは実際に自分で体験したZONEという現象を半分も理解していないということになりえたでしょう。
ZONEを理解する上で重要ではあるものの、あまりに専門的になりすぎるためここではあえて紹介しなかったこともたくさんあるので、もっと詳しく知りたいという人はぜひ読んでみてください。
熊谷玲美さんによる翻訳も素晴らしく、心底オススメできる一冊です。
ZONEに入るための条件7:高い自己肯定感
ZONEに入るために動作は必須だということは覚えておいてください。
身体と意識の融合がZONEへ至らせるからです。
極限に集中していたとしても、本を読んでいる最中にはZONEへ入れないということです。
というわけで、ZONEに入りやすいのはやはりスポーツや料理などになりそうです。
シリコンバレーのプログラマーたちがZONEに入っていることを考えたら、プログラムやブログを書く、タイピング練習などもありだと思います。
ただ、趣味でやる場合は、特に明確な目標を持って、現在の自分のスキルレベルよりも少しだけ高い難易度の課題を設定して、上へ上へと自分を駆り立て続けることが重要です。
例えば料理の場合は、タイマーを使って毎回同じレシピをどれだけ速く作れるか、に挑戦してみるのも効果的だと思います。
昨日よりも今日、1秒でも速く完成させることを目標に、自分の動きを最適化して達成を積み重ねる・・・。
毎日続けることや上達を実感するたびに自己肯定感はどんどん高まりますし、それがZONEに入るために必要な要素です。
つまり、あなたをZONEへと至らせるものは、あなたがその瞬間にやることよりも、あなたの持つ自己肯定感を高める習慣だと言えます。
ZONEに入るための条件8:高いテストステロン値
人は本能レベルで他人と比較し競争する生き物です。
自分が相手より有能だと感じたり、優勢だと感じたり、勝っていると感じたときにテストステロン値は高まります。
例えばスポーツをしている最中、他の人が苦しそうな顔をしているときに自分に余裕があると、余計に元気が出てくるのはこのためです。
言語化できなくても本能的に「勝った」と思っているのです。
そして、高いテストステロン値は、自信や自己肯定感を高めます。
このように、”勝者”は勝ち続ける限り、テストステロン値と自己肯定感を高めていきます。
なので、テストステロン値を上げるあらゆる試みが自己肯定感を高めることに繋がると言えそうです。
僕がZONEに入ったときに行っていたテストステロン値を高める習慣に筋トレと日光浴があります。
ZONEに入った2度とも、前日に30分以上の日光浴をしていました。
季節は夏だったので、太陽の力が一年で一番強い時期ですね。
細胞のエネルギー生成工場であるミトコンドリアの数はテストステロン値に比例して増えるそうなので、テストステロン値が高いほど多くのエネルギーを使えると言えそうです。
また、テストステロンは強力な抗酸化・抗炎症性物質なので、健康状態を改善する上でも大切なホルモンと言えます。
テストステロン値は良質な睡眠、筋トレ、日光浴、適切な栄養摂取(ビタミン、亜鉛などミネラル、コレステロール)などで簡単に上げることができるので、ZONEに入るための条件を満たすためにこちらから働きかけることもかなり有効だと思います。
ご覧のように、ZONEに入るための条件として高い自己肯定感は重要で、テストステロン値を高める習慣によって自己肯定感は高まるので、テストステロン値を高める習慣を身につけることがZONEへ入る一番の近道になるかもしれません。
また、男性の場合、射精7日後あたりにテストステロン値が最大化するというデータもあるので、テストステロン値を上げる習慣と合わせれば、この日にテストステロン値が爆上がりすることは間違いないので、ZONEへの扉が最も開きやすい1日となりそうです。
ZONEに入ることのデメリット
- ”ZONE中毒”になる
- 金遣いが荒くなる
- 体の損傷に無頓着になる
- 一時的な偏頭痛
こんなところでしょうか。
ZONEを1度でも体験してしまうと、「再びZONEに入りたい」という強い欲求が生まれます。ドーパミンやエンドルフィンといった快楽系の神経伝達物質の大放出を伴うZONEは、体験者をZONE中毒とも呼べるほどに強く惹きつけます。
そして、ZONE中毒者はZONEに入る条件を再び満たすために、時間・お金・エネルギーのすべてを注ぎ込み始めます。まさに今までの僕みたいに(笑)
この5年間で費やしたお金は僕にとっては巨額ですが、後悔はしてません。それほどまでに、「ZONEに近づいた」という確かな実感があるからです。
3.「体の損傷に無頓着になる」は、ZONEに入っている最中限定で、これは痛みを感じなくなるためです。ドーパミン、ノルアドレナリン、エンドルフィンに強力な鎮痛作用があるため起こるらしいです。痛みを感じない体で限界を突き抜けた力を出し続ければ体は普段とは比べものにならないくらい疲労し損傷します。ただ、ZONE中の恍惚感の中でそんな些細なことを気にかけることはできないので、ZONEを体験するためには払わなければならない代償だと思って受け入れてください。
4.「一時的な偏頭痛」は、ZONEから抜けた直後にやって来ました。ZONE中に神経伝達物質が大放出されることによる影響だと思います。恐らく、ZONEに留まる時間が長ければ長いほど、この影響は大きくなると考えられます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
誰もがZONEへ入ることを目指すべきだと僕が思う理由、なんとなくわかっていただけたでしょうか?
僕が2度のZONE体験の後、パッタリとZONEに入ることができなくなった理由は、『自分が有害だと思うものの摂取をやめたこと』だと思います。
グルテンフリーで体の健康を取り戻し、ZONEへ至った僕は、さらに自身の健康状態を改善しようと、自分の健康を悪化させている食材を突き止めどんどん排除し、それまで飲んでいたプレワークアウトドリンクやプロテイン、添加物たっぷりのマルチビタミン&ミネラルの錠剤などの摂取もやめ、もっと健康的な食事に置き換えていきました。
その結果、栄養不足となり、身体が思うように動かなくなり、パフォーマンスが落ちてしまったのです。
筋トレでは満足のいくトレーニングができなくなりましたし、バスケでも十分な力を発揮できなくなりました。
自分を有能だと感じることは日に日に減り、いつしかそれが当たり前になりました。
ただ、この記事を書いている今現在、ようやくZONEに入った頃と同レベルの身体能力を取り戻せたという実感が出てきました。
それも、あの頃と違って、身体に悪そうなものはほとんど使わずに。
自分の体に関する知恵も深まりました。
再びZONEへ入れなければ確信を持って言えないのですが、健康を追求し続けたこの5年間は決して無駄ではなかったと思っています。
あなたにもぜひZONEに入ってほしいです。
そして、その体験をシェアしてください。
1度でもZONEに入れば、人生に対する価値観がガラッと変わります。
ZONEに入るということは、それほど強烈で価値ある体験だと思います。