悪玉(LDL)コレステロールに関する致命的な8つの誤解
今回は、コレステロールについて書きました。
- コレステロールの摂取量を減らせば、悪玉(LDL)コレステロール値が下がる。
- 悪玉(LDL)コレステロールは、脂質である。
- 悪玉(LDL)コレステロールは悪者で、善玉(HDL)コレステロールはヒーローである。
実はコレ、ぜんぶ誤解です。
コレステロールに関する見解は日々アップデートしているというのにも関わらず、まだ「悪玉(LDL)コレステロールは下げなければいけないもの」という大昔の誤報を信じている人が大多数だと思います。
ただ、これらの誤報に従って健康を管理した場合、健康被害が取り返しのつかない、まさに”致命的”なものになる可能性が非常に高いので、僕が学んだコレステロールに関する最新の知識を発信することには大きな意味があると感じました。
というわけで、今回は、いまだに大多数の方が信じていると思われる「悪玉(LDL)コレステロールに関する致命的な8つの誤解」を紹介し、その誤解を解くことで、健康やパフォーマンスを改善するために役立つ情報を発信します。
本記事の内容
- 「コレステロール」と「悪玉(LDL)コレステロール」の違い
- コレステロールの特徴・役割
- LDL・HDLコレステロールの役割
- LDL(悪玉)コレステロールに関する致命的な8つの誤解
- まとめ
どうも、バイオハッカーのYujiroです。
今から約5年前、グルテンフリーで身体の力を取り戻し、2度完璧なZONE(ゾーン、フロー)に入ったことをきっかけに、自身の日々のパフォーマンス(生産性)を科学的に最大化する方法(=バイオハック)を研究しています。
今回は、冒頭で説明させていただいたように、大多数の人が信じている「悪玉(LDL)コレステロールに関する致命的な8つの誤解」を紹介し、その誤解を「僕が3冊の書籍から仕入れたコレステロールに関する最新の知識」をもとに解くことで、あなたの健康やパフォーマンスの改善に役立つ情報を発信していきます。
「コレステロール」と「悪玉(LDL)コレステロール」の違い
- コレステロールは、脂質
- 悪玉(LDL)コレステロールは、タンパク質
このように、コレステロールと悪玉(LDL)コレステロールは全くの別物です。
コレをごっちゃにしていることで、「コレステロールってなんだか難しい」と思ってしまっている人もいるかもしれないので、最初にこの違いを明確にしてみました。
それでは、まずは脂質の方のコレステロールには、どんな特徴や役割があるのか見てみましょう。
コレステロール(脂質)の特徴・役割
- ① 脳の重さの5分の1はコレステロール
- ② ステロイド(性)ホルモンの材料
- ③ 細胞膜の形を整える
- ④ 強力な抗酸化物質
- ⑤ 新しい脳細胞の成長促進
- ⑥ ミエリンの材料
- ⑦ 脂質の吸収を助ける
- ⑧ 血管の修復
脂質の方のコレステロールには、このような脳や体にとって不可欠な働きがあります。
ミエリンというのは、脳の神経細胞をとりまく絶縁体のようなもので、これのおかげで情報の早期伝達が可能になるとのことです。
箸の使い方が上手くなったり、自転車に乗れるようになったりするのも、練習によってこのミエリンが正しい場所に形成され、情報がより速く、正確に伝わるからみたいです。
それでは、次は、悪玉(LDL)コレステロールとHDLコレステロールの役割を見てみましょう。
LDL・HDLコレステロールの役割
- 悪玉(LDL)コレステロールの役割:細胞にコレステロールを運ぶ
- 善玉(HDL)コレステロールの役割:古くなった細胞からコレステロールを回収し、肝臓に戻す
悪玉(LDL)コレステロールも善玉(HDL)コレステロールもコレステロール(脂質)を運ぶトラックのような役割を担ったタンパク質というわけですね。
こうして見ると、悪玉にも悪いところ、ないですよね。
LDL(悪玉)コレステロールに関する致命的な8つの誤解
- コレステロール摂取量を減らせば、悪玉(LDL)コレステロール値が下がる。
- 悪玉(LDL)コレステロールは、脂質である。
- コレステロールは、脳梗塞や心筋梗塞、動脈硬化などの原因である。
- 悪玉(LDL)コレステロール値が高い人は、薬で下げなければならない。
- コレステロールは、巨悪の根源である。
- 悪玉(LDL)コレステロールは悪者で、善玉(HDL)コレステロールはヒーローである。
- 妊娠中に悪玉(LDL)コレステロール値が上がるのも良くない。
- 閉経後に悪玉(LDL)コレステロール値が上がるのも良くない。
実はコレ、ぜんぶ誤解なんです。
どういうことなのか、早速順に見ていきましょう。
1. コレステロール摂取量を減らせば、悪玉(LDL)コレステロール値が下がる。
一見なにも矛盾していないように思えますが、これのどこが誤解なのでしょうか?
血中コレステロールの検査をすると出てくる数値は、実際のところ75〜80パーセントはあなたの体が作りだしたものに由来していて、必ずしも食べたものが反映されているわけではない。
(『「いつものパン」があなたを殺す』 P.156より引用)
体内のコレステロールは、食事で作られる割合が20%で、残りの80%は肝臓で合成されていることは従来からわかっていたことでした。コレステロールをあまり摂取しなければ、体内合成分が増えますし、たくさん摂取すれば、合成分が減る、というバランスができているのです。(『ケトン体が人類を救う』P.156より引用)←異なる著者による異なる本の同じページ数に同じ内容の記述があるのは偶然にしてはすごい・・・。
実はコレステロールが食物由来のものは全体の20%程度、後の80%は肝臓を中心とした組織がその合成を担っているのだ。しかも肝臓は食物からつくられるコレステロールが増えると肝臓で合成する量を減らすなど、その総量をきっちりと管理しているのだ。つまり、体内のコレステロールの総量は、食べ物には左右されず調節されているということなのだ。(『2週間で体が変わるグルテンフリー健康法』P.152より引用)
3人の異なる著者によって書かれた3冊の本からそれぞれ引用させていただいたのですが、このように、食事でのコレステロール摂取量を減らしても、体内の総コレステロール量は一定に保たれるので、
「LDLコレステロール値がちょっと高いからコレステロールの摂取は控えてください」
というアドバイスをする人は、
- ① 知識のアップデートを怠っている
- ② 事実は知っているが、何らかの理由で意図的にそうアドバイスしている
のどちらかだと思います。
コレステロールを食事で摂ることが大事な理由
この驚くべき能力があるにもかかわらず、食事からコレステロールを摂取するのはやはり重要なのである。人間の体は、内部でコレステロールをつくるよりも、食べ物からのコレステロールを摂るのを好むのだ。内部でつくるのは複雑で何段階にも及ぶ生物学的プロセスを経なければならず、肝臓に負担がかかる。(『「いつものパン」があなたを殺す』 P.156-157より引用)
つまり、食事でのコレステロール摂取量を減らすと、肝臓で作らなくてはいけない量が増えて、それが肝臓の負担になるということらしいです。
食事でコレステロールを摂取することで、肝臓の負担を減らすことができるので、コレステロールの摂取量は減らすべきものではなく、むしろ増やすべきものだということがわかると思います。
「じゃあ、なんで悪玉(LDL)コレステロール値って上がるの?」
と思った方、素晴らしい質問です。
この質問に対する答えは、
- 体内で作られるコレステロールは、糖質を材料に合成され、悪玉(LDL)コレステロールもコレステロール(脂質)の増加に応じて増えるから
となります。
炭水化物を摂りすぎると、コレステロール摂取を減らしても、体内ではコレステロールが絶え間なく過剰生産されるのだ。(『「いつものパン」があなたを殺す』 P.157より引用)
コレステロール(脂質)や悪玉(LDL)コレステロール値が増える原因は、コレステロールの過剰摂取ではなく、「糖質の過剰摂取」にあったというわけですね。
2. 悪玉(LDL)コレステロールは、脂質である。
悪玉(LDL)コレステロールは、先に説明したように、脂質ではなく、タンパク質です。
コレステロールを細胞まで運ぶことが、悪玉(LDL)コレステロールの仕事です。
3. コレステロールは、脳梗塞や心筋梗塞、動脈硬化などの原因である。
火事場にいたからという理由で、放火犯にされた悪玉(LDL)コレステロール
さて、従来は、脳梗塞や心筋梗塞、動脈硬化などの疾患は「コレステロールが原因」とされていたのですが、最近になって、じつは梗塞の現場にコレステロールが見つかっただけで、コレステロールは犯人ではなく、血管損傷の修復係であることが明らかにされてきました。
火事の現場で見つかったコレステロールは、放火犯ではなくて消防士だったのです。(『ケトン体が人類を救う』P.155より引用)
LDLは敵ではない。問題が起こるのは、高炭水化物の食事によって、LDLが酸化され、アテローム性動脈硬化症のリスクが増すときだ。(『「いつものパン」があなたを殺す』 P.122より引用)
このように、コレステロール(脂質)や悪玉(LDL)コレステロールにはなんら悪いところなどなかったのに、現場にいたというだけで犯人にされてしまっていたのです。
脳梗塞や心筋梗塞、動脈硬化などの疾患リスクを上げていた真犯人は、やはり「過剰な糖質」だったのです。
4. 悪玉(LDL)コレステロール値が高い人は、薬で下げなければならない。
悪玉(LDL)コレステロール値を下げるために処方されるスタチン系薬剤は、肝臓におけるコレステロールの合成を促す酵素の働きを抑制することで、体内で合成されるコレステロールの量を強制的に減らす薬です。
悪玉(LDL)コレステロール値も同時に下がります。
コレステロールが体内でも合成される理由は、コレステロールが脳や体にとって不可欠だからです。
そんなコレステロールの量を強制的に減らせば、少なくとも「健康に悪い」というのはわかると思います。
スタチン系薬剤の使用のデメリット
- ① 脳の活動低下
- ② 認知症リスク増加
- ③ うつのリスク増加
- ④ エストロゲンの合成阻害
- ⑤ テストステロンの合成阻害
- ⑥ ED
- ⑦ ビタミンDの合成阻害
- ⑧ コエンザイムQ10の合成阻害
- ⑨ パーキンソン病リスク増加
- ⑩ 死亡率増加
コレステロールの合成が阻害されると、ビタミンDの材料になるコレステロールも不足することになります。
これが問題なのは、ビタミンDの不足が
- 糖尿病
- うつ
- 心血管疾患
- 認知症
- 骨軟化症
などのリスクを上げるからです。
糖尿病になると、アルツハイマー病のリスクが2倍になることを考えると、スタチン系薬剤の服用がもたらしうるデメリットの深刻さが理解できると思います。
減らすべきなのは、悪玉(LDL)コレステロール値ではなく、糖質の摂取量です。
今回の記事は、これを言いたいがために書いたと言っても過言ではないです。
僕の言葉が信じられなければ、ご自身で色々調べてみてください。
とくに現在スタチン系薬剤を服用している方にとっては、一考の価値があると思います。
5. コレステロールは、巨悪の根源である。
体内におけるコレステロールの合成を阻害するともたらされる上記のようなデメリットやコレステロールの特徴・役割を見ても、まだこれを信じますか?
6. 悪玉(LDL)コレステロールは悪者で、善玉(HDL)コレステロールはヒーローである。
悪玉にも善玉にも、それぞれ大事な役割があり、脳や体に必要だから存在しているのです。
悪玉や善玉という呼び名がついていることが、LDL・HDLコレステロールに関する誤解が未だ解けない大きな原因であるのは間違いないと思います。
7. 妊娠中に悪玉(LDL)コレステロール値が上がるのも良くない。
妊娠中には悪玉(LDL)コレステロール値が上がりやすくなるそうですが、これはなぜ?
コレステロールの高値は分娩後6週ごろまで続きますが、授乳することにより低下します。
したがって、コレステロールが高値になるのは、授乳のときに使うエネルギーのために、コレステロールを体に備蓄しているためだと考えられています。(中略)妊娠中にコレステロールが高くなるのは、普通のことなのです。(『ケトン体が人類を救う』P.164より引用)
妊娠中に悪玉(LDL)コレステロール値が上がるのは必然ということですね。
この本の著者は産婦人科医で、胎児が糖質ではなく、ケトン体を主なエネルギー源にしていることを明らかにしたようです。
妊娠すると血糖値が下がりにくくなるのは、体が糖質を拒絶しているからとも書かれています。
妊娠中も減らすべきは、悪玉(LDL)コレステロール値でも、コレステロール摂取量でもなく、「糖質の摂取量」というわけです。
8. 閉経後に悪玉(LDL)コレステロール値が上がるのも良くない。
閉経後にも悪玉(LDL)コレステロール値が上がる傾向があるようですが、これは悪いこと?
「コレステロール降下薬の年間売り上げは3000〜4000億円とも言われている。その7割は女性が飲まされている。
女性は閉経後に必ずコレステロールが上がるからです。
もしコレステロール降下薬を処方されても、安易に従わず、捨ててしまうようお勧めします」(『ケトン体が人類を救う』P.160-161より引用)
閉経後に悪玉(LDL)コレステロール値が上がるのは普通で、それはおそらく、閉経後に急激に低下するエストロゲンの合成を促進するためだと思われます。
女性ホルモンのエストロゲンは、コレステロールを材料にして合成される男性ホルモンから合成されるので、コレステロールは女性ホルモンの合成のためにも不可欠というわけですね。
まとめ
スタチン系薬剤の使用など、「強制的に悪玉(LDL)コレステロールやコレステロール(脂質)を減らそうとする全ての試みが致命的になりえる」という僕の考えを少しは理解していただけたと思います。
コレステロール(脂質)にも、悪玉(LDL)コレステロールにもなんら悪いところはありません。
彼らは、火事の犯人に仕立て上げられても、文句を言わずに、真摯に消火活動をこなしてきたのです。
減らすべきは、コレステロール(脂質)でも、悪玉(LDL)コレステロールでもなく、「糖質の摂取量」です。
これだけ覚えていただけたら、この記事を書いて良かったと思えます。
ただ、誰かの言うことを”鵜呑みにする”ことには、常にリスクがあります。
それが医者の言うことであっても、ということは、この記事を読んでくださった方にはわかると思います。
僕の言うことも、どうか鵜呑みにせずに、ご自身で調べるなどして判断していただけたら思います。
僕は今までそうしてきましたし、これからも仕入れた知識を自分の身体で試し、自分の身体に関する知恵を深め、皆様にも利するところがあると思ったら、ここでシェアしていくつもりです。
関連記事
参考書籍
※当ホームページに掲載されている情報の正確性については万全を期しておりますが、運営者(Yujiro)は利用者が当ホームページの情報を用いて行う一切の行為について、何らの責任を負うものではありません。
「なんでやねん」という方はこちらをお読みください。