ZONEHACKERS' LAB Written by Yujiro

なぜデュアルNバックで脳がアップグレードされるのか?

ミエリン 脳トレ

あなたはデュアルNバック(DNB)という脳トレをご存知だろうか?
デュアルNバックは、作業記憶(短期記憶)を鍛えることで、流動性知能を含めた脳の総合的な力を向上させることができる脳トレだ。

流動性知能とは、「どのように」知識や情報を得たのかという実質的な「頭の良さ」を測る指標で、長い間「これは生まれつきのもので、向上させることはできない」と考えられていた。

しかし、2008年にある研究グループが「作業記憶(短期記憶)が流動性知能にとって重要」であることに着目し、「作業記憶(短期記憶)を向上させることで、流動性知能も向上させることができるのではないか?」と仮説を立て、実験してみたところ、彼らの仮説は正しかったことが証明された。

そこで、使われたのが作業記憶(短期記憶)を向上させることがわかっていたデュアルNバック(DNB)だ。
1日30分、5週間、デュアルNバック(DNB)を続けた被験者たちの流動性知能は、平均で40%も増加した。
つまり、実質的な頭の良さも、デュアルNバック(DNB)という脳トレで改善することができるというわけだ。

デュアルNバック(DNB)の価値をおわかりいただけただろうか?
この脳トレについてもっと詳しく知りたいと思った方は、ぜひこちらの記事を読んでみてほしい。
脳力アップできる唯一の脳トレはデュアルNバック(DNB)

デュアルNバック(DNB)について僕が知りうる限りの知識をまとめたものだ。

  • デュアルNバックで向上する脳力
  • 僕が実際に使っているアプリ
  • ゲームのルール・やり方
  • 成果を最大化するためのヒント

など、あなたが求める情報もきっと得られるだろう。

デュアルNバック(DNB)を知っていて、すでに何度か挑戦してみたという方であれば、この脳トレを習慣化することがどれほど難しいか、身をもって実感していることだろう。

何事でもそうだが、継続しないことには効果は得られない。が、デュアルNバックは継続すること自体が非常に難しい。
デュアルNバックの効果を実感できるまでに、平均1日30分、週5日、合計40日が必要とされている。
人は効果を実感できないものを継続することはできない。が、効果を実感するために捧げなくてはならない時間と労力が多すぎる。
これがデュアルNバックがほぼすべての挑戦者を返り討ちにしてきた理由だ。

かくいう僕も、何度も挑んではその度に挫折を繰り返してきた。
敗北で負った心の傷を癒し「今度こそ!」と決意新たに挑んでは、キレイに返り討ちにされた数なら僕も負けない。

でも、僕は現在100日以上連続でこのデュアルNバックに挑戦し続けている。
具体的な数字を出すなら、去年(2021年)の12月9日から始めて昨日で120日連続ということになる。

それも1日5回や10回ではなく、きちんと毎日20回、約30分をデュアルNバックに捧げてきた。
幾度となく挫折を経験したのちに、ようやくデュアルNバックの習慣化に成功したのだ。
そして、僕はこの脳トレを「これから毎日死ぬまでやる」ことを決めた。

なぜ挫折のプロとも言える僕が突然デュアルNバックの習慣化に成功できたのか?
なぜただでさえ継続することが難しいデュアルNバックを「これから毎日死ぬまでやる」などと決心することができたのか?

僕は魔法使いではないので魔法は使えない。
凡人の僕が代わりに使ったのは、誰でも使えるいくつかの現実的な方法だが、その中でもとりわけ役に立ったのは、「なぜデュアルNバックで脳がアップグレードされるのか?」という問いと、それに対する答えを学習したことだ。

デュアルNバックを習慣化する極意は、「デュアルNバックの価値は、脳の神経可塑性という性質によって保証されている」と確信することにあると言える。

というわけで、この記事では「神経可塑性という脳の性質によって保証された、デュアルNバックが効く仕組み」について深く掘り下げたいと思う。
僕と同じように、「挫折を経験しながらもこの脳トレの習慣化をあきらめきれない」という人並み外れた向上心を持つ方の一助になれば幸いだ。

なぜデュアルNバックで脳がアップグレードされるのか?

デュアルNバックの価値は、脳の神経可塑性という性質によって保証されている。
神経可塑性という言葉を聞き慣れていない人は、ぜひここで学んでほしい。

デュアルNバックが効く理由その①:脳の神経可塑性

女性の脳から光るパズルのパースが溢れ出る
ざっくり説明すると、神経可塑性とは、あなたの遺伝子や行動・選択・環境などによる刺激を受けて、脳に存在するニューロン(神経細胞)が絶えず変化するという性質だ。

僕たち人間の脳には約1000億個のニューロンがあり、それぞれのニューロンが互いに情報を交換し合うことで、僕たちは生命を維持したり、学習したり、友情を育んだり、コメディを観て笑ったり、頭のおかしな隣人の言動に憤ったりすることができる。

あなたがとりわけ優れた記憶力や言語能力を持っているなら、これらの能力を構成するニューロン群の情報伝達能力が優れているからだ。
ニューロンの情報伝達能力は、「情報伝達効率」「情報伝達スピード」によって決められる。

「情報伝達効率」は文字通り、ニューロンが受けた情報をどれだけ無駄にせずに次のニューロンに伝えることができるかを示し、主に

  • 情報を伝える側のニューロンのシナプスが放出する神経伝達物質の量
  • 神経伝達物質を受ける側のシナプスの受容体の数
  • 個々のニューロンのシナプスそのものの大きさ

などによって決まる。

「情報伝達スピード」はニューロンがどれだけ速く次のニューロンへ情報を伝えることができるかを示し、主にニューロンの軸索に巻きつくミエリン(髄鞘)と呼ばれる絶縁体の

  • 層の厚さ
  • 長さ

などによって決まる。
(※正確には、ミエリンの役割は、「常に全力でしか発火できないニューロンの発火の速度をコントロールすること」だ。スキルによっては、発火速度を遅くすることも必要になる)

シナプスが放出する神経伝達物質の量が多ければ多いほど
情報の受け手側のシナプスの受容体の数が多ければ多いほど
個々のシナプスの大きさが大きければ大きいほど
ニューロンの軸索に巻きつくミエリンの厚さが厚ければ厚いほど
ニューロンの情報伝達能力が高いことを意味する。

より多くの情報を、より速く、より正確に伝えることができれば、優れた記憶力や言語能力として表現されるというわけだ。

そして、ニューロンの情報伝達能力を決定するこれら全ての要素は、あなたの遺伝子や行動・選択・環境などによる刺激を受け、絶えず変化している。
よく使われるニューロンの情報伝達能力は高くなり、そうでないニューロンの能力は衰える。

これが脳の神経可塑性だ。
あなたが特定のニューロンを使えば使うほど、そのニューロンは物理的に大きく太く成長するのだ。

ここまで来れば、僕が「デュアルNバックの価値は、脳の神経可塑性という性質によって保証されている」と言った意味が理解できるだろう。
あなたがデュアルNバックに挑戦するたびに、あなたの作業記憶(短期記憶)に関わるニューロン群は発火を繰り返し、物理的に大きく太く成長するのだ。

デュアルNバックが効く理由その②:天才を作る最高の仕組み

ディープ・プラクティスをする天才バイオリニスト
『天才はディープ・プラクティスと1万時間の法則でつくられる(The Talent Code)』という本で展開されるのは、これまで実在したほぼ全ての天才は、上で説明した「ニューロンのつながりが強化される仕組み」によってつくられたという理論だ。

ディープ・プラクティスとは、「正確に、意図したニューロン群を使う(発火させる)行動の反復」だ。
ざっくり言えば、これを1万時間行えば、誰でも天才になれるということになる。

  • 天才 = ディープ・プラクティス × 1万時間

この本によると、ディープ・プラクティスを行う鍵は、「今の自分よりちょっとだけ高いレベルでの挑戦を繰り返す」ことで、この「ちょっとだけ高いレベル」のことを最も有効な結果を残せる点という意味でスウィートスポットと呼んでいる。

挑戦は簡単すぎて退屈を感じるようではいけないし、難しすぎて不安を感じるようでもいけない。
「やればできるはず」と自信を持って挑めるレベルでの挑戦の反復が、求める能力を最速で向上させる極意というわけだ。
(そしてこれは、フロー/ZONEに至るための条件でもある。)

ただ、このスウィートスポットに常に留まり続けるのは、非常に困難だ。
能力が向上すればスウィートスポットも上昇するし、能力が衰えれば下降する。
能力が衰えることなど考えたくもないが、どんなに必死に努力していても、それは起こりうる。
どんなことでも常に向上は望めない。

「今の自分よりちょっとだけ高いレベル」を維持するためには「今の自分のレベル」を正確に把握しなければならない。
常に変動する「今の自分のレベル」「今の自分のスウィートスポット」を把握しながら、そこでの挑戦を1万時間繰り返す。
ほとんどの人の天才が解放されない理由はここにあるのかもしれない。
(もちろん、どんな挑戦であれ1万時間続けること自体がほとんど不可能に思えるかもしれないが)
せめて、正確なフィードバックをくれる優秀なコーチがいれば・・・。

でも、ここであなたに朗報がある。
それは、「デュアルNバックには、この天才をつくる仕組みが丸ごと備わっている」ということだ。
それが真実なら、これ以上の朗報があるだろうか?
安心してほしい。ここに嘘は一切ない。

デュアルNバックは、常に変動する「今のあなたのレベル」と「今のあなたのスウィートスポット」を正確に把握し、常にあなたに「今のあなたのスウィートスポット」とマッチする課題を提供してくれる。

あなたが「今の自分のレベル」と「今の自分のスウィートスポット」を把握し、自分で挑戦のレベルを調整する必要は一切ない。
すべてはデュアルNバックがあなたのために自動でやってくれる。

僕が使い続けているデュアルNバックアプリのデフォルトの設定では、

  • 正答率75%未満でレベルダウン
  • 正答率75%以上90%未満で現状維持
  • 正答率90%以上でレベルアップ

となっていて、僕はこの設定をいじったことは一度もない。
なぜなら、これがデュアルNバックが効く理由の核となる設定だからだ。
これによって、常に「今の自分のスウィートスポット」で挑戦することができる。

デュアルNバックが常に「今のあなたのスウィートスポット」となる課題を提供し、挑戦するたびにあなたの作業記憶を構成するニューロン群は酷使され、発火を繰り返し、その度に成長し、あなたの脳は最速でアップグレードされていく。

これがどんなに素晴らしいことかおわかりいただけるだろうか?
僕はこの真実にたどり着いた時、このプログラムの製作者に思わずキスしたくなったほどだ。

デュアルNバックは、まさに「The・タレント・コード(自動天才育成プログラム)」だ。
先に「デュアルNバックの価値は、神経可塑性によって保証されている」と話したが、この脳トレの価値は、そのプログラムそのものにもあったのだ。

「まったく、この仕組みを瓶に詰めて売ることができれば、何百万ドルもの価値があるのに」

というのは、音楽療法士のゲーリー・マクファーソンが同書籍の中で漏らす言葉だが、デュアルNバックはまさにそれが実現したものだ。
この天才を育む仕組みが、デュアルNバックという瓶に丸ごと詰まっている。

そして、デュアルNバックのアプリは、何百万ドルもしない。
誰でも無料で使うことができるのだ。

デュアルNバックが効く理由まとめ

飛び交う光るパズルのピースを指でさすビジネスマン
いかがだっただろうか?
デュアルNバックを習慣化するために最も重要な「デュアルNバックの真の価値」を十分に腑に落としていただけただろうか?

今回解説した「神経可塑性」「デュアルNバックの仕組み」を理解していただけたのなら、「人の脳力に限界はない」ということも理解していただけるかもしれない。

デュアルNバックに捧げたあなたの時間とエネルギーは、一切無駄にならず、物理的に作業記憶のニューロン群となって、あなたの脳に蓄積されていく。

そして、冒頭で紹介したように、作業記憶を鍛えることで、実質的な頭の良さを測る流動性知能を含めた脳の総合的な力も強化される。

デュアルNバックの仕組みを利用し、同じプロセスで昇っていけば、いつか100BACKにだって到達できると僕は確信している。

そこから見える世界はどんな世界になるだろう?
そこに到達したとき、僕たちには何ができるだろう?

  • フォトグラフィック・メモリー(写真記憶)?
  • 人や社会の未来を何十年も先まで読む予知能力?
  • 1冊の本の知識を5分で丸ごと記憶する異次元の速読能力?

そして、それすらも僕たちの限界じゃない。

デュアルNバックの習慣化に成功すれば、今のあなたに不可能なことでも、未来のあなたにとっては不可能ではなくなる。

日々アップグレードするあなたの脳にどんなソフト(知識・スキル)をインストールするかは、完全にあなた次第だ。

Let’s unleash your potential.
さあ、デュアルNバックであなたの潜在能力を解き放とう。

あなたの潜在能力は、あなたに解き放たれるのを待っている。

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参考書籍

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